「ミス○○」など、容姿の優れた者を決める大会の優勝者(あるいは出場者)が、必ず言うセリフがございます。
「
弟が勝手に応募したんです」。
これは真っ赤なウソなのです。ある程度自信があって、自分で応募したに違いないのです。
よしんば本当に弟の所業だったとしても、断る事は出来たはずです。最終的には自分の意思で参加したのです。
でも、それをばか正直に言ってしまうと「自分の事を可愛いと思って応募した女」という残念な存在に成り下がってしまいます。
ですから、自身の謙虚さを保持するため弟を犠牲にするのです。
「姉ちゃん!俺そんな事してないよ!」という悲痛な叫びが身内に響き渡るのです。石垣です。
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妹の友達の旦那様がゲームの会社に勤めているそうで、絵を描ける人をたくさん探している…との話を戴きました。
僕から見れば「妹の友達の旦那様」という事で…ちょっと縁遠いような気もしますが、妹の友達の旦那様の悩みは妹の悩みも同じです!バーンと大船に乗ったつもりでお任せストイコビッチでございます!
ただ、求められる絵が「美少女(萌え系)イラスト」というのが第一の問題でございます。
先方から見れば、僕は「嫁の友達の兄」。僕個人の事も、僕が普段どんな絵を描いているかも、全く存じません。
そして、その旦那様の勤めるゲーム会社が超大手であるというのが第二の問題でございます。
普段テレビゲームをやらない人でも名前ぐらいは聞いた事があるであろう、超有名ゲーム会社でございます。
この会社なら、超有名で一流の萌え系イラストレーターに依頼する事だって可能なはずなのです。
…コネクションにより発生した、ミスディレクションでございます。
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冒頭で「弟が勝手に応募した」という件について苦言を呈しましたが、僕はとんだ見当違いをしていたのかもしれません。
本当に家族が勝手に応募したのならば、それこそ後には退けないのです。
家族の期待と一族の誇りを背負った以上…勝利を掴まねば、それは一族の敗北を意味します。
どれほどの難敵であろうとも、決して背を向ける事は許されないのです。
さて、此度僕の身に舞い込んだ正真正銘の「妹が勝手に応募したんです」。
ド正直に頑張っても「コネを使っておきながら落選」という無様な結果を残す事になるかもしれません。
付け焼き刃で醜態を晒す前に断る事だって出来ますし…もしかするとそれが最善手なのかもしれません。
…でも!ここでビシッと決められれば「お兄ちゃんカッコイイ」でございます。
幸いにして締切は非常に緩く、基礎から学ぶ猶予は存分にございます。
28歳、グラフィックデザイナー兼イラストレーター7年生。その経験と誇りのすべてを賭して。
大手企業を阿鼻叫喚させるべく、誠心誠意全身全霊を込めて「萌えイラスト制作」に挑む所存に御座います。
…絵画において、リアルを知らぬ者のデフォルメに輝きは宿りません。さしあたっては人体デッサンでございます。
まずは愛読書「ジョジョの奇妙な冒険」「魁!男塾」「BLACKANGELS」を熟読し、「萌え系」の何たるかを学びたいと思います…!